長崎居留地で生まれ育ち、まちづくりの先駆者的存在として活動されている桐野耕一さん。そんな桐野さんや地元にお住まいの方々と一緒に、ホテルのある南山手を中心にまち歩きをしました。雨が、しとしとと降る中、色とりどりの傘を差した20名ほどの参加者たちがホテルを出発!
朝さるくのルートは3つあり、今回は、「祈念坂」コースを歩きました。坂の多い南山手ですから、体力が少し心配でしたが、桐野さんの歴史ウラ話ポイントがたくさんあるため、楽しみながら、あっという間の散歩になりました。
長崎の観光名所といえば、「グラバー園」と「大浦天主堂」。そんな2大スポットが同じエリアにあるという贅沢な居留地地域ですが、他にも観光ブックには載っていない、地元の人々の間で語り継がれている物語が、たくさん残っていました。
日本人の私たちは長崎といえば、坂本龍馬を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
この居留地には龍馬と縁の深い外国人たちも暮らしていました。そんな外国人たちが暮らした、洋風建築の家が今でもたくさん残っています。異国のようなこの地域には、「居留地境」と刻まれた小さな石碑があります。
これは、海外との貿易が厳しく制限されていた時代に、外国人の住宅やお店が唯一認められていた「居留地」とそうでない地域の境に建てられたそうで、今でもところどころに残っているそうです。何気なく街を歩いていると、絶対に気づくこともないような石碑ですが、こういった話をその地で育った桐野さんから聞くことで、隣り合った家でもこの石碑ひとつ隔てていることが、どんな意味を持ったのだろうか?どんな風に暮らしていたのだろう?と思いを馳せるきっかけになりました。
この居留地で過ごした外国人の物語を多くご存知の桐野さん。あたかも、彼らにお会いしたことがあるのではないか?という錯覚さえ起こしてしまうほど、情緒豊かに語ってくださるのですが、お話を聞いていると、いかにその外国人たちが長崎を愛していたのかが、よく伝わってきます。それを証明するかのように、彼らのお墓はこの居留地にあるそうで、彼らの魂は愛する長崎の地に眠り、いまでも逸話が引き継がれているのです。(ちなみに、桐野さんの幼少期はその“外国人墓地“でかくれんぼをしていたほど、身近な場所だそうです。)観光ブックでは語られることのないお話を、そこで生きてきた桐野さんのような方から聞く体験は、とても味わい深いものになりました。
朝さるくを終え、ホテルに戻ると、朝からこんなに食べられるのか?と思ってしまうほどの豪華な朝食が食卓に並んでいます。「和・華・蘭朝食」と称したこの朝食は、長崎の古くからの食文化を表現したものです。
さるくでもお話を聞いたとおり、この居留地には西洋人が暮らしていましたが、居留地から少し長崎市街地の方へ歩くと中国人が暮らした街もありました。このような異なる文化が集まる環境から、和食と中華と洋食を織り交ぜた「和華蘭文化」が生まれたそうです。
シェフが丁寧にお料理の説明をし、長崎産の米の炊き立て白ごはんと共に“和華蘭食文化”を楽しみつつ、同じテーブルになった方々との会話も愉しみながらの朝食は、優雅なひとときでした。
朝さるくで“歴史”を学び、朝食で“文化“を感じる。このイベントは、毎月開催しています。
地元の人すら知らない「長崎」。長崎で育った人も、観光で来られた方も、移住されて来られた方も、楽しめない訳がない、贅沢な朝がここにあります。
住所:長崎県長崎市南山手町2-28
TEL:095-827-7777
営業時間:
【ホテル】火曜定休(祝日・夏期・年末年始除く)
【ブライダル】平日12:00-19:00/土日祝10:00−20:00/火曜・水曜定休
http://www.hotelsetre-nagasaki.com/